私が林電気に入ったのは平成元年なんで勤続年数は数えやすいでしょ。
年の功ってもんで課長補佐なんて肩書が一応ついてますが、もう70超えてとっくに定年過ぎてるんです。
居心地いいんで体が動くうちは働かせてもらってます。

昔は革製品とかやってる商店で働いていたんですが、電気に興味があったもんで、なぜか資格をとってて、フラフラとなんとなくこの道に入りました。好きだったんでしょうねぇ。

電気の世界は奥が深くて幅広く、全部覚えるのはたぶん無理な話だとおもいます。土方の穴掘りから配線から細かい事をあげればきりがありません。だから何年経っても興味が尽きないんだろうね。

肉体労働ではあるけれど、電気の場合は体力的にそこまでキツイということはないんじゃないかな。林電気の場合は住宅やビルの内線工事が多いから外の暑さや寒さがしんどいというような事は少ないです。ただ住宅メーカーの下請け仕事が多いもんだから忙しい時期っていうのは必ずあるけどね。

弱電から強電まで色んな仕事があるから、電気が好きな人は楽しいとおもいます。最初はチンプンカンプンで訳がわからないとおもうけど、ある程度、3か月なのか3年なのか・・・やってくうちにわかりはじめるんです。

あれやれ、これやれって言われて断片的にやってた事がつながってくるんです。仕事の流れが一通りわかってくると楽しくなってきます。

だから、最初の期間、わけわかんないながらも仕事に食らいついていく時期が大事です。そこを乗り越えた時にこの仕事の面白さが見つかるんじゃないかな。

結局、電気って単純なものでもあって、プラスとマイナスしかない世界だから理屈は簡単なものです。

電気の世界はやっぱ理系向きです。いくら性格がよくても仕事ができなきゃ足ひっぱるだけなんで、仕事ができた上ではじめて皆と仲良くできる、コミュニケーションもうまくいく。超一流である必要はないけれど性格とか人格とかより先に電気が好きで仕事ができるっていうのが大事です。好きであれば最初はダメでも覚えていくからね。

もう定年すぎだし夢とか目標とかそんなのは特にないけれど、若い人が入って世代交代しながら、皆がまとまって仲良く仕事ができていけばいいなぁとおもいます。

電気工事っていっても皆それぞれに役割分担があるから、自分の仕事に責任もちながら、気配りっていうか、横のつながりとかも大事にしてね、林電気は結構そういうのは上手くやってて和気あいあいとやってるけどね。

うちは下町の電気屋だから工事とか大きな仕事以外でも近所のトラブルなんかにも対応してますよ。古い町だからご近所さんがフラフラやってきてお茶したり、電球代えたりとかなんでもします。

気持ちよく仕事ができる事が一番で、これからもそういう会社であって欲しいね。

経験なくても電気が好きで熱意のある人だったら、私の知識や技術は全部教えたいね。出し惜しみなく教えるし、何聞いていいかもわかんないだろうけど、どんどん質問して欲しいね。

そして人を育てて気持ちよく引退したいね。